管理職の「傾聴」と「フィードバック」が組織を強くします。今回は後編「フィードバック」。 効果的なフィードバックの3つのコツを解説します。
スタッフからの相談で活用したい 「傾聴」4つのポイント
管理職の「傾聴」と「フィードバック」が組織を強くします。今回は前編「傾聴」。スタッフからの相談で活用したい 「傾聴」4つのポイントを解説します。
『対話』で重要なのは「聴くこと」です
活気のある明るい職場に共通していることがあります。それは「対話」が機能しているということです。
勘違いしていることが多いのですが、対話において大切なのは、実は「話すこと」ではありません。
確かに、対話は「話し合い」ではあるのですが、実はその前段階の「聴くこと」の方が、ずっと大切なのです。
肯定的な関心を持って聞くことで話し手は安心して話ができる。このように、「傾聴」が大切であることは、看護師の多くが知っていて、患者に対して実践していることだと思います。
ただ、スタッフのマネジメントとなると、スタッフの想いをうまく引き出せないとか、結果、アドバイスになってしまったなど、対話や傾聴に課題を抱える看護管理職の方が多いように見受けます。
管理者だからこそ落ちいってしまう罠
トラブルや人間関係の問題、スタッフの健康問題などの状況をキャッチしたとき、あるいは相談があったとき、当事者の話をしっかり聞かずに、管理する立場を優先させ管理職自身が率先して行動をしてしまうということがあるのではないでしょうか。
また、経験があるからこそ 「きっとこういうことだろう」 と判断をし、対応をしてしまう場合があるのではないでしょうか。もちろんそういった行動が適している問題もありますが、対スタッフの心理的な事情をはらんだ問題の場合は、まずは当事者スタッフの思いを聞くことが一番重要です。
発揮してもらいたい『傾聴力』
長年対人援助に関わっていると「できているつもり」「やっているつもり」になっていることも多い「傾聴」です。
「傾聴」で重要なのは、『分かったフリをしないで、理解するという姿勢で話を聴くこと』です。分かったフリをしがちですが、わからない前提で相手の思いを知ろうと背景にまで思いを寄せて聴くことです。
人は話を聞いてくれた人に信頼感を覚えます。信頼が心理的安全性の土壌になります。
スタッフの思いを傾聴することで職場の心理的安全性を高められ、管理職の思いや考えをフィードバックすることでチームレベル向上が期待できます。
スタッフの真の課題を掴むための4つの「傾聴」ポイント
①気持ちの入ったうなづきとあいづち
話を聴きながらうなづく行為や「えぇ」「そうなんですね」などの言葉を発することで、話し手の話をしっかり聞いているという受容を示すサインになるのがうなづきとあいづちです。
しかしうなずきとあいづちは、軽く入れれば軽さが伝わり、深く入れればより深く理解して(しようとして)いることが伝わります。
聴いているフリのうなづきやあいづちは相手にそのことが伝わりマイナスの要素になります。
また、よく使いがちな「分かった」は「(わかったから)もういいよ」という意味に捉えられることがあるので注意しましょう。
②感情を拾った効果的なオウム返し
オウム返しは「感情」に対して使います。
感情から出てきた表現をキャッチし、「ここぞ」というときに使う方が有効があります。
傾聴をしていると感情が込められたフレーズが分かります。その言葉をキャッチしてオウム返しすることができれば、その投げ返された言葉を聞いた話し手はその言葉がトリガーとなり、話し手の続きの話が流れるように出てくるようになります。
③要約で相手の反応を確認しましょう
要約は、状況を客観的に整理できることと、お互いのすれ違いをなくせる2つのメリットがあります。
いろんな話題や気持ちが出てきたときに、こちらが要約して伝え返すと、相手の話が整理され、冷静に話が続けられたり、相手の思考が促される効果が期待できます。
そして、要約を伝え「そうなんです!」と返ってくれば自分の思いが正しく理解されたと相手は満足感や安心感を受けます。しかし、「そうかもしれませんね…」などの反応が返ってきたら、相手の伝えたいことを十分理解できていない可能性があります。
そのまま話を続けず、「どこか違和感があるのですね、教えてください」とすり合わせをし、すれ違いを解消しましょう。
④自身の気持ちに気づきを促す明確化
明確化は相手が自身の感情を曖昧にしか感じられないとき、 あるいは気づいていないときに、その気持ちを汲み取って、言葉で伝えることです。
たとえば、「もう辞めようかなって」と相手が発したときに「自分のミスで迷惑をかけていると感じてやめた方が迷惑をかけないで済むと感じているのね」など、それまでのリレーションで受け手が感じた相手の気持ちを伝えることで、話し手が自身の本質の部分に気づき、気持ちや問題点が明確になることです。
しかし、一歩間違えると、ただの推測や決めつけになったりする場合もあるので話しの内容に注視するのではなく、相手の気持ちを理解しようとすることに注力することが大切なポイントです。
傾聴の真の力
聴く力がつくと表層課題から真の課題が見えてきます。
真の課題が見えると打ち手が分かります。
課題に対し効果的なフィードバックに繋げることができます。
次回は「傾聴」とセットで実施してもらいたい「フィードバック」について触れたいと思います。
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